何もない日曜日|予定のない休日に不安になる短い話

夜に読む短い話

日曜日の朝は、少しうれしかった。

今日は何も予定がない。

誰かに会う約束もない。

急いで出かける用事もない。

好きな時間に起きて、好きなように過ごせる。

そう思っていた。

でも、夕方になったころ。

部屋の中が少し暗くなり始めたころ。

胸の奥に、理由のわからない不安が広がってきた。

今日は、何をしていたんだろう。

そう思った瞬間、何もないはずの日曜日が、少しだけ苦しくなった。

ゆっくりするつもりだった

朝は、ゆっくり起きた。

カーテンを開けると、外は明るかった。

洗濯機を回して、簡単な朝ごはんを食べた。

スマホを見ながら、特に意味のない動画をいくつか流した。

誰にも急かされていない。

何かを間違えたわけでもない。

平和な休日だった。

それなのに、午後になると少しずつ落ち着かなくなってきた。

何かした方がいい気がした。

どこかへ行った方がいい気がした。

誰かに連絡した方がいい気がした。

でも、何をしたいのかはわからなかった。

画面の中の日曜日

スマホを開くと、誰かの日曜日が流れてきた。

カフェに行った人。

友達と出かけた人。

買い物をした人。

家族と過ごした人。

写真の中の日曜日は、どれもちゃんと形があった。

誰かと笑っていたり、どこかへ行っていたり、何かを食べていたりした。

それに比べて、私の日曜日は何だったのだろう。

洗濯。

スマホ。

少し散らかった部屋。

飲みかけのコップ。

それだけを思い返すと、今日一日が急に薄く感じた。

何も悪いことはしていない。

でも、何も残らない日だったような気がした。

夕方が近づく

夕方の光は、少し苦手だ。

朝や昼にはまだ余裕がある。

これから何かできる気がする。

でも夕方になると、一日が終わりに向かっていることがわかってしまう。

まだ何もしていないのに。

まだ休んだ気もしないのに。

もう日曜日が終わろうとしている。

窓の外が少しずつ暗くなっていくのを見ながら、胸の奥がざわざわした。

明日になれば、またいつもの一週間が始まる。

それなのに、今日をうまく使えなかった気がした。

休むための日だったはずなのに、休み方まで失敗したような気がした。

誰からも連絡が来ない

スマホを何度か見た。

通知はなかった。

別に、誰かから連絡が来る予定があったわけではない。

それでも、何もない画面を見ると、少しだけさみしくなった。

誰かに必要とされていない気がした。

誰かの予定の中に、自分がいない気がした。

大げさだと思う。

日曜日に連絡が来ないだけで、そんなふうに考える必要はない。

でも、予定のない部屋でひとりでいると、そんな小さなことまで心に残ってしまう。

通知のない画面は、ただ静かなだけだった。

でも、その静けさが今は少し痛かった。

何もしていないだけなのに

本当は、何も悪いことは起きていない。

今日はただ、家にいただけ。

少し休んでいただけ。

どこにも行かなかっただけ。

誰にも会わなかっただけ。

それなのに、心の中では自分を責める声がしていた。

もっと有意義に過ごせたはず。

部屋をもっと片づければよかった。

勉強すればよかった。

運動すればよかった。

誰かに連絡すればよかった。

何もしないと決めた日なのに、何もしなかった自分を責めていた。

電気をつける

部屋が暗くなってきた。

でも、しばらく電気をつけなかった。

暗くなっていく部屋の中で、スマホの画面だけが明るかった。

その明るさが、余計にさみしかった。

少しして、ようやく立ち上がった。

部屋の電気をつけた。

明るくなった部屋は、朝と同じ部屋だった。

散らかったものも、飲みかけのコップも、そのままだった。

でも、暗いまま見ていたときよりは少しだけましに見えた。

私はついでに、コップを流しへ持っていった。

それだけのことだった。

でも、少しだけ体が動いた。

今日を失敗にしない

何か大きなことをしたわけではない。

誰かと楽しく過ごしたわけでもない。

写真に残したいような一日でもない。

でも、洗濯はした。

ごはんも食べた。

少し休んだ。

電気をつけた。

コップを片づけた。

そうやって数えてみると、本当に何もしていなかったわけではなかった。

ただ、目立つことをしていなかっただけ。

誰かに見せられるような日曜日ではなかっただけ。

それでも、ちゃんと今日を過ごしていた。

何もない日曜日の終わり

夜になった。

明日の準備を少しだけした。

バッグの中を確認して、洗濯物をたたんで、部屋の明かりを少し落とした。

まだ、完全に不安が消えたわけではない。

今日を上手に過ごせたとも思えない。

でも、失敗だったと決めなくてもいいのかもしれない。

何もない日曜日。

予定のない休日。

誰にも会わなかった一日。

そんな日にも、ちゃんと意味があることにしたい。

休めたかどうかは、今すぐわからなくてもいい。

何かを成し遂げた日だけが、大切な日ではない。

ただ過ごした日も、自分を保つために必要だったのかもしれない。

私はスマホを少し離れた場所に置いて、布団に入った。

日曜日は、静かに終わっていく。

何もないまま終わる夜に、少しだけ息を吐いた。

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